CONTEXT [小説から映画へ] 約50秒
身代金の電話は、
横浜の高台で鳴った。
エド・マクベイン『King’s Ransom』(1959)黒澤明『天国と地獄』(1963)
黒澤は、アメリカの警察小説を高度経済成長期の日本へ移した。
『天国と地獄』は、まったくのオリジナル脚本ではない。原作は、エド・マクベインの〈87分署シリーズ〉の一作『King’s Ransom』(1959)である。
取り違えられた子ども
靴会社の重役のもとに「息子を誘拐した」という電話がかかる。ところが連れ去られたのは、彼の息子ではなく、運転手の息子だった。他人の子のために全財産を差し出すのか。物語の芯になるこの問いは、小説から映画へそのまま受け継がれている。
移し替えられたもの
黒澤は舞台を横浜に移し、誘拐サスペンスを、階級の格差と高度経済成長期の日本社会を描く映画へと大きく広げた。高台の邸宅と、それを見上げる下界。その高低差が、日本語の題名『天国と地獄』そのものになっている。
そして約60年後、スパイク・リーはこの同じ小説を企画の出発点に、物語をふたたびニューヨークへ戻すことになる。
型事実ハブ翻案
- 意外性
- 共感度
- コンテンツ性
- 世界観近似性
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書籍・1959年
エド・マクベイン『キングの身代金』架空の街アイソラの87分署を舞台にした警察小説シリーズの一作。原題『King’s Ransom』。靴会社の重役のもとに、身代金を要求する電話がかかってくる。
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[もう一本の源流] 事実
始まりは黒澤ではなく、一冊の小説だった。
映画・2025年
『HIGHEST 2 LOWEST』スパイク・リーが、黒澤明『天国と地獄』の構造を現代のニューヨークへ移し替えた作品。富、家族、選択の価値が問われる。
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[原作から再解釈へ] 事実
誘拐劇は、60年後にアメリカへ戻った。
映画・1963年
黒澤明『天国と地獄』エド・マクベインの小説『King’s Ransom』を原作に、誘拐事件を通じて企業家の倫理と社会の格差を描いた作品。
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[黒澤明を経由して] ハブ
コッポラは、黒澤の映画づくりを支えた。
人物・1939年
フランシス・フォード・コッポラ『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』の映画監督。
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[監督も奥地へ] 作者と作品
映画の撮影そのものが、地獄の行軍になった。
映画・1979年
コッポラ『地獄の黙示録』ベトナム戦争のさなか、軍を離れて奥地に王国を築いたカーツ大佐の暗殺を命じられた大尉の旅。1979年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受けた。
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[パルム・ドールの系譜] ハブ
ジャングルの奥の戦争と、東京の片隅の家族。
映画・2018年
是枝裕和『万引き家族』万引きで暮らしを補う一家と、彼らに拾われた少女を描いた映画。2018年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受けた。
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[家族とは何か] 作者と作品
日本映画に21年ぶりのパルム・ドールをもたらした。
人物・1962年
是枝裕和テレビのドキュメンタリー演出から映画監督になった。『誰も知らない』『万引き家族』『海街diary』などを撮っている。
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[見過ごされた子どもたち] 作者と作品
14歳の少年が、カンヌで最年少の男優賞を得た。
映画・2004年
是枝裕和『誰も知らない』母親に置き去りにされた四人のきょうだいの暮らしを描いた映画。長男を演じた柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受けた。
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地獄の黙示録 から分岐
[川を遡る物語] 事実
コンゴの川は、ベトナムの川になった。
書籍・1899年
ジョセフ・コンラッド『闇の奥』象牙交易の奥地へ向かう船乗りマーロウが、消息を絶った交易所の責任者クルツを探す物語。当時のコンゴ自由国が舞台とされる。
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[コンゴという土地] ハブ
植民地の奥地と、独立の叫び。
映画・2000年
ラウル・ペック『ルムンバの叫び』コンゴ独立の指導者パトリス・ルムンバの、首相就任から殺害までを描いた映画。
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闇の奥 から分岐
[船乗りが見た川] 作者と作品
作家は自分で、コンゴ川を遡っていた。
人物・1857年
ジョセフ・コンラッドポーランド生まれの英国の小説家。船乗りとして世界の海を渡ったのち、英語で『闇の奥』『ロード・ジム』などを書いた。
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闇の奥 から分岐
[支配する側の闇] 似ている
植民地を統べる者の心の奥。
書籍・1936年
ジョージ・オーウェル『象を撃つ』英領ビルマで警官をしていた若いオーウェルが、暴れた象を、群衆の前で「撃たねばならなくなった」経験を書いたエッセイ。



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